桐生タイムス2月19日付報道記事。
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小6女児自殺第1回口頭弁論 双方の主張、対立 2011-2-19
桐生市立新里東小6年の上村明子さん(12)が自殺した問題で、自殺は学校でのいじめと教師らの不適切な対応が原因だとして、明子さんの両親が市と群馬県に計3200万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が18日、前橋地裁(西口元裁判長)で開かれた。市側は「自殺はいじめが原因とは即断できない」とする答弁書を提出し、請求棄却を求めて争う構えをみせた。
訴状によると、明子さんは転校直後の4年時から同級生らにいじめを受け、「臭い」などの悪口を言われた。6年時には給食でもグループに入れず孤立するなどした。だが学校側はこうしたいじめを認識していたのに放置し、いじめ防止義務を怠ったと主張。いじめによる自殺は予見できたとして、これを回避する義務を怠ったのは重大な過失だと訴え、市と県の責任を追及した。
これに対し、市側は「(いじめと自殺の因果関係を調べるため市が設置した)第三者委員会の調査結果が出た段階で改めて主張する」と前置きした上で、「自殺はさまざまな要素が複合的機能的に入りまじった結果であり、(明子さんの)自殺がいじめの結果とは即断できない」と答弁した。
学校の対応については「教員らはいじめの問題に真摯(しんし)に取り組み、被害防止に注意義務を尽くしてきた」と反論。自殺の予見可能性も否定した上で、自殺の原因について「家庭環境や友達の問題なども踏まえて検討するべきだ」と主張した。県も市の主張を踏襲する姿勢を示した。
西口裁判長は、主な争点として(1)いじめの有無と程度、および学校側のいじめの認識(2)学校側に安全配慮義務違反があったか(いじめを放置したか)(3)いじめと自殺に相当の因果関係があるか—を列挙。これらの議論を軸に、今後の弁論を進める方針を示した。
明子さんは昨年10月23日、自宅で首をつって自殺した。市は昨年12月に弁護士ら5人の第三者委を設置し、自殺といじめとの因果関係を調べており、3月末までに調査結果をまとめる方針。今後の弁論では、この結果も踏まえて市側の主張を展開するとしている。
第2回口頭弁論は5月20日に設定された。
「一緒に最後まで闘う」ー両親
第1回口頭弁論で、上村明子さんの両親は代理人弁護士3人と並んで原告側に列席した。傍聴席の最前列では、明子さんの妹(10)が姉の遺影を抱きながら裁判の行方を見守った。
閉廷後、県教育会館で記者会見した父・竜二さん(51)は、明子さんの霊前に「一緒に頑張ろうね、応援してね」と呼びかけてから出廷したといい、「正直、裁判は長いなと思うが、いじめと自殺の因果関係を認めてもらうまで、最後まで闘いたい」と決意を述べた。
両親側は、いじめの有無や学校側の認識を立証するため、明子さんの自殺後に同級生全員に行われたアンケートの結果や、明子さんの生活や心の記録があるはずの道徳の補助教材「心のノート」など、学校側が持っている文書資料を証拠提出するよう、地裁を通じて要請した。
「第三者委も踏まえて」ー市側
市側の代理人弁護士は閉廷後、地裁の外で報道陣の取材に応じ「被告側としても、事案解明のため真摯に努力したい」との基本姿勢を示した。
自殺の原因を「即断できない」と主張した理由について、「現時点では因果関係が完全に切れるとは言えないという意味で、そういう表現になった」と説明した。
市が設置した第三者委と訴訟との関係については、「第三者委は独立した組織だが、その判断は重要な要素になる」とした上で、仮にいじめと自殺の因果関係を認める調査結果が出た場合は、法廷での主張も変わる可能性があることを示唆した。
両親側が求めている、学校側のアンケート調査などを証拠提出するかどうかは「プライバシーの問題などもあるので、どこまで出すかは慎重に考えたい」とした。
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http://www.kiryutimes.co.jp/news/2011/0219/1102191.html