広報紙<日本PTA>#334(発行は2011年7月31日付)のp.4に以下の記事がある。
(事務局長関連で「雇用」「派遣」「執行」「折衝」と書かれた箇所が札幌市のPTA連合体の特色らしいゆえ緑化byFJN)
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県P自慢 シリーズ64 札幌市P
「あったかい大人 頼れる大人 子どもとともに 地域とともに」 ~人とのかかわり合いの大切さ~
札幌市PTA協議会会長 山本 清和
札幌市PTA協議会(札P協)は、市内10区のPTA連合会(区P連)で組織され、市立幼稚園13園、小学校206校、中学校99校に会員数は約13万人を擁しております。昭和23年4月に発足し、平成20年には創立60周年を迎えました。今日に至るまで、多くの先輩方に築いていただいた組織体制のもと、毎年充実した活動を続けております。
その活動の一つに、各区P連で様々な発想と工夫を凝らして実施されている、親子ふれあい事業があります。この事業は、札幌市からの助成金の一部を活用し、親子体験学習や他の家族との交流を通して、親子の絆を深め、人とのかかわり合いの大切さを学ぶことを目的としています。
昨年の例を参考に上げると、ある区P連では、30台余りのバスに1400名ほどの親子を乗せ、「夜の動物園見学」と題して市内にある札幌円山動物園で夜間の見学会を実施しました。参加者の大部分が、夜の動物園見学は初めてということもあり、昼間では見られない動物の生態に大人も子どもも興味津々で、楽しいうえに勉強になったと大評判でした。
また、ある区P連では、約200名の親子で日本海に面した漁業の盛んな町へ行き、地元の漁師さんの指導のもと、地引き網の体験学習を実施しました。最初は不漁でしたが、2回目には最盛期のニシン漁を彷彿させるような大漁となり、大きな歓声が海岸線に響き渡ったそうです。地引き網が終了した後、地元の教育委員会の方から、魚についてのレクチャーも受け、さかなクン並みの知識もたくさん得ることができ、こちらも大好評でした。
他のいくつかの区P連では、札幌市郊外の「滝野すずらん丘陵公園」にある「札幌市青少年山の家」に行き、自然あふれる丘陵地帯の中を親子でのハイキングやオリエンテーリングで汗を流し、その後に他の家族と協力して屋外炊事を行っています。メニューは、カレーライスや北海道名物のジンギスカンが多いようですが、準備の段階で薪割りや炭火おこしなども含まれており、お父さんの存在価値が試される場面もありました。親子ふれあい事業の多くは、普段体験できない非日常的な活動や他の家族との交流を通して、家族の役割や協力関係を再認識し、親子の絆を深めることに役立っているようです。
しかし、他の区P連と異なり、毎年頑なに同じ内容の事業を繰り返し実施している区があります。札幌が誇るコンサートホールKitara(キタラ)を休日の昼間に貸し切って、区内の小・中学校の合唱や吹奏楽の発表会を実施するという内容です。このKitaraというコンサートホールは、地元の札幌交響楽団の定期演奏会のほか、世界の若手音楽家の育成を目的とした国際教育音楽祭であるパシフィックミュージックフェスティバル(PMF)のオーケストラ演奏会の会場になっており、毎年著名な楽団や演奏家の公演が行われる東京以北随一の本格的コンサートホールです。そんなステージで発表できる機会を与えようと、その区P連の役員の方々は、毎月祈る思いで抽選会に臨んでいます。休日は、利用の申し込みが多いため必ず抽選になり、当てるのに一苦労も二苦労もしています。そんな辛い思いを乗り越えて実施される発表会は、子どもたちや先生方の気合の入った真剣な姿に圧倒される素晴らしいものです。
どの区P連の事業においても、参加された親子にとっては特別な思い出となり、大変貴重な一日になっているようです。札P協としては、今後も継続してこの事業が実施できるよう支援をしてまいります。
さて、従来まで札P協では、各区P連の役員を対象に指導者セミナーを実施してきましたが、札P協の活動をもっと広く理解してもらうことと家庭の教育力向上を目的に、昨年から一般会員を対象にした研修セミナーを実施しております。昨年は、親野智可等氏を講師として講演会を企画したところ、定員を上回る1600名もの応募がありました。学校単位や区P連単位では、金銭的な問題などで招待できないような講師の講演会を今年も実施する予定です。このような規模の講演会を実施できるのは、ブロック研究大会を4年に1度の割合で開催し、全国研究大会を過去に3度(平成27年度に4度目の開催が決定済)も開催した実績と経験があるからです。そのことによって、研究大会の実施運営のノウハウが蓄積されるだけではなく、教育に関する最新の情報や貴重な提言等を得ることができ、それが保護者の意識レベルの向上をもたらし、結果として、北海道にあっても札幌市の教育水準は、全国上位の位置を保っていることにつながっていると言えます。
そもそも、これらの事業や研究大会などが実施できるのは、我々の諸先輩が築き上げてきた万全の組織体制があるからです。
札P協は、現在13名の専従職員を雇用し、10区の区P連事務局に1名ずつ事務局長を派遣しています。各区P連は、区内の学校の空き教室を借用し、専用の事務局を設置しています。この区P連事務局には、毎日のように区P連関係者が集まり、理事会や委員会等を開催しています。区P連の事務局長は、これら諸会議の準備や予算の執行、関係先との折衝など、様々な職務を担って区P連活動を支えています。札P協の一番の自慢は、この10区のPTA連合会の存在そのものです。その影には、市教委をはじめとする行政の理解と協力があり、まさに官民一体となって札幌の子どもたちを見守り続ける体制が、連綿と引き継がれています。
今後もこの体制を維持しながら、子どもたちの健やかな成長のために、札幌らしい活動を続けてまいります。
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cf.――
http://www.nippon-pta.or.jp/material/index.html#data02