
――《人間力戦略研究会報告書》――
サブタイトルはこう。
――若者に夢と目標を抱かせ、意欲を高める ~信頼と連携の社会システム~――
ちなみに、この報告書が定義した人間力とはこうだ。
――社会を構成し運営するとともに、自立した一人の人間として力強く生きていくための総合的な力。――
私は、愚昧なものが嫌いなくせに愚昧なものを研究する癖がある。
ゆえに、つい軽く研究してしまった。
その結果、この報告書の趣旨は、どうやらこうだと理解した。
――日本では「人間力」が低下しているので強化しなくっちゃ…
そうしないと経済が活性化しないんだし…
でもってナンダカンダはともかくとして結論はこんな感じ…
【人間力強化のためには、学校と家庭と地域と産業、この4つの連携と協力が不可欠!】――
…愚昧な私が愚昧なものを愚昧に研究したゆえ‘愚昧の三重苦’なのだが、たぶん当たらずといえども遠からずだろう。
で、この報告書には幾つか‘「人間力」強化対策’が書かれていて、怖ろしいことにこんな【対策】まであった(報告書p.20冒頭)。
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▼対策2.学校・地域活動への積極的参加(短期)▼
保護者はPTA活動その他学校行事に積極的に参加し、学校と密接に連携して、納得できる教育を実現することが必要である。このため、学校やPTA等は、保護者との連携強化が可能となるように、例えば、平日夜間における学校・PTA会合の実施、土日における行事の実施等、連携のあり方を工夫することが必要である。
また、保護者自身の率先したボランティア等社会活動への参加により、子どもが社会性を身につけるための環境を整えることが望ましい。このため、ボランティア休暇の普及を図ることが必要である。
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私は「保護者は~することが必要である」という言い回しが怖ろしかった(笑)。
ただし「学校やPTA等は、保護者との連携強化が可能となるように」と書くとゆ~ことは【学校】と【PTA】と【保護者】とはそれぞれ別物と見なしているわけだから、特に【PTA】と【保護者】を別物と見なしている一点は、ハキダメニツルというか、「うむ、正解!」と思った。
【PTA】と【保護者のボランティア等社会活動】とを別物と見なしている点も正解に近いかもしれない。
面白かったのはpp.24-25の「Ⅴ 人間力向上に向けた戦略的な施策の推進」、いわばこの報告書の怒濤のエンディング。
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Ⅴ 人間力向上に向けた戦略的な施策の推進
◆1 問題意識の共有化
・ 既に見たように、我が国経済を活性化し、かつ個々人の豊かな社会生活を実現するためには、人間力の強化が不可欠であるが、人間力の実態及び強化の方策に関する関係者の認識は必ずしも十分ではない。
・ このため、これまで、学校、家庭、地域、産業等及び政府のいずれもが、人間力の低下傾向を感じつつも、自らの責任と役割を十分に認識せず、有効な対策を見出せないまま、状況を悪化させてきたとも言えよう。
・ 人間力を構成する要素は多様であり、かつ各分野と密接に関係していることから、特定の分野のみの努力でこれを改善することは困難であり、相互の密接な連携が不可欠である。人間力の強化のためには、まず、これら関係者が協力して、人間力の実態を十分に把握し、それぞれが有効な強化策を講ずる必要性についての認識(危機感)を共有する必要がある。
◆2 学校、家庭、地域及び産業等の役割の明確化
・ 人間力の実態を把握し、さらに強化するため、学校、家庭、地域及び産業等の主体がそれぞれ有する責任と、果たすべき役割を明確化する必要がある。
◆3 各主体の連携強化
・ 学校、家庭、地域及び産業の連携を強化するため、
①教育委員会の充実
②学校評議員の設置推進
③これらへの幅広い関係者の参画
④地元産業界(商工会議所、商工会等)の対応体制の整備(担当の明確化等)
⑤インターネットその他を通じた学校―家庭、学校―地域・産業、家庭―地域・産業の連絡体制の整備等を図るとともに、政府の支援によるネットワークの整備と情報(体験等)の共有化を図ること
が重要である。
・ また、これら活動を活性化するためには、地方自治体による各主体に対する積極的な働きかけと支援が不可欠である。このため、例えば自治体は学校、家庭、地域及び産業等の相互の参画・協力のための基礎となる出会いの場を生み出す仕組み作りを検討することが必要である。
・ なお、国においては、こうした活動を積極的に支援、推進していく必要がある。その際、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、その他関係府省の一層の連携強化が必要である。
◆4 戦略的な対策の推進
・ 人間力強化のためには、上記のような体制整備に加えて、提言に盛り込まれた施策を下記の手順に基づき、戦略的に推進する必要がある。
(1)人間力に関する継続的・体系的調査等に基づく客観的な分析・評価
(2)政府による基本方針等の明確化
(3)基本方針等に基づく各主体による積極的取組と、政府による必要な支援
(4)各主体(特に学校、地域、産業、及び政府)による幅広い情報提供
(5)各主体の取組に関する評価(自己評価、第三者評価、又は政府による評価等)とその公表、並びに具体例(特に成功事例)の豊富な提供
(6)政府による支援策の適切な見直しと実施
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「◆」を付けたり、一部箇条書きにしたりは、私の編集による。
…しかし、「1の2番目の・」はすごい文章だなぁ。
――これまで、学校、家庭、地域、産業等及び政府のいずれもが、人間力の低下傾向を感じつつも、自らの責任と役割を十分に認識せず、有効な対策を見出せないまま、状況を悪化させてきた――
とは書きも書いたり、【家庭】と【政府】を同列にして糾弾しているものなぁ。
以降、読み進めていくと、【家庭】も【主体】なんだもんなぁ。
そのくせ、「4」では不意に【家庭】が消滅して、特に「4の(4)」では、
――各主体(特に学校、地域、産業、及び政府)による幅広い情報提供――
となって、【各主体】とは要するに‘特に家庭以外の主体のこと’と読解できるよう( )内で注意書きしているもんなぁ。
そうしないと「4の(5)」にある【公表】なんて「うちの【家庭】は断固拒否します!」と言われちゃいそうだと考えたんだろうかなぁ。
それにしてもすごいなあ政府って。
…あ、さっきいきなり政府トップが「もうや~めたっ」って言ったんだっけ。
……大した「人間力」だよなあ。
cf.http://www5.cao.go.jp/keizai1/2004/ningenryoku/0410houkoku.pdf
(↑のp.25に噴飯系イメ-ジ図)


