
「家庭教育の支援、学校・家庭・地域が一体となった教育の推進、こういったことにつきましてご意見をいただきたいと思います。どなたでも結構ですが、よろしくお願いします」
と促した。
すると、一人の委員が次のように言った(自称が「僕」ゆえ男性委員だろう)。
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「幼稚園、保育園に子供が行っているときに、
園と親たちとの一体感、信頼関係というのを
つくっていくのがとても大切だと僕は思うのです。
保育園の場合は、特に平均で10時間以上、子供を預けているわけです。
子育て支援とは言いながら、子育て代行です。
子育てを代行する側と親側の心の一体感というのが非常に欠けてきている。
それが
子供たちの幼児期の安定感、安心感が欠けてきているという状況に
なっていると思います。
1年に1日でもいいのですけれども、
親たちが保育園で1日保育士体験をやる。
8時間保育園で1日保育士体験をやる。
幾つかの保育園で実験的にやってみたのですけれども、
親たちからの苦情がほとんど出ないです。
親たちも、仕事を休んで1日保育士体験やらなければいけないのですけれども、
2つの園でやったら100%親は参加しました。
1人だけ苦情を役所に言った人がいましたけれども。
そういうことが可能なのです。
そうすると、親たちが、
保育士たちが本当に
自分の子供を毎日、毎日遊ばせてくれて、
いろんなものを教えてくれている。
そこで、
親たちに保育園に対する感謝の気持ちが生まれてくるのです。
この感謝の気持ちがない限り、
保育園、幼稚園は本当には成り立たないですし、
学校もそうだと思うのです。
今、親たちにアンケートをとると、
保育園に対する満足度という形でアンケートをとることが
非常に多いのです。
この満足度ということが感謝度というふうになってこないと、
本当の親心は育っていかない。
保育園の側にも嫌な親というのはいるのです。
その嫌な親が8時間保育園で過ごすと、
意外といいところがあったとか、
そういうことに保育園の人たちも気づくのです。
そういう中で、親たちと保育園、幼稚園の先生たちの信頼関係を
少しずつ、少しずつ育てていかないと、
一体感を育てていかないと、
結局そこで
幼稚園、保育園と親たちの心がばらばらになっていると、
同じことが学校でも起こってくる。
だから、早いうちに早いうちに、子供が小さいうちに、
子育てを
学校も保育園も幼稚園も代行しているわけですから、ある意味で。
それだとしたら、
代行する側と親たちの信頼関係をどうやってはぐくんでいくか。
方法としてはたくさんあります。
やっている園もたくさんあります。
全県的に、埼玉県は親心をはぐくむ、まずはぐくむ。
それから学校教育が成り立つんだという方向に行ければと僕は思います。」
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(↑はPDFファイル http://www.pref.saitama.lg.jp/A20/BA00/keikaku/giji3.pdf のpp.25-26)
そして、私の誤読かもしれないがこの委員(以下「サンクフルネス委員」と表記したのは、私の便宜上の編集である)も参加して、第4回会議――2008(H20)年1月11日(金) 15:30~18:00――では次のような討論が展開した。
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●サンクフルネス委員――「なぜここに問題があるかというと、評価という言葉が出てくるからです。」
〇委員―――――――――「評価でよろしいではないですか。評価されることに意義ありですよ。」
●サンクフルネス委員――「評価という言葉をこっちが出すと、本当に親たちは評価するようになる。
これは厚生労働省や何かの保育園の調査なんかでも、
親の満足度調査というアンケートをとるのです。
これが問題なのです。
これは親の感謝度調査になったときに、初めて成り立つのです。
その学校がうまくいったのは、
もちろん僕は親たちの一日学校参観ではなくて体験、教師体験、
こういうものが絶対あったほうがいいです。
そこで生まれてくるのは、学校に対する評価ではなくて、
先生たちに対する感謝です。
ここが違うのです。
厚生労働省がやる満足度基礎調査なんかでも、
親たちの感想文は確実に感謝です。
でも、それを満足度調査という名前でやるか、
感謝度調査という名前でやるか、
ここに非常に問題がある。」
〇委員―――――――――「では、先生にお聞きしますが、何で感謝度調査はよくて、評価がいけないのですか。企業では評価が行なわれております。ここで行われているのは社長や経営者に対しての感謝度調査ではなく、個々人の各種対応についての評価なのです。」
●サンクフルネス委員――「企業とはこれは違うのです。」
〇委員―――――――――「でも、そのような考えは一般的には通用しませんよ。」
●サンクフルネス委員――「信頼関係というのは、親たちの感謝からなのです、信頼関係というのは。
ビジネスというのは満足からなのです。」
〇委員―――――――――「企業はビジネス面だけに目を向けているのではないですよ。」
●サンクフルネス委員――「これは考え方の違い。」
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(↑はPDFファイル http://www.pref.saitama.lg.jp/A20/BA00/keikaku/giji4.pdf のpp.10-11)
…私は密教僧侶の口から「感謝度」という言葉が出る事実に‘甘く危険な香り’を嗅ぎ取った(笑)。


