fc2ブログ

とどくとおもう Ⅱ

Full of Junk and Nothing

本質の議論は誰がどこでするのだろう?

◆1◆
最近読んだインタヴュー記事で、キャリア30年以上の公立中学校教員が今昔の中学校について次のように述べていた。
****************************************
 昔のことでよく覚えているのが、学級目標を決めるのに2ヶ月とかをかけて、クラスの中で徹底的に討議をしたことがありました。
なぜ学級目標が必要なのかまで考えながら、時間をかけて大変だったのですが、そういう時間が昔は可能でした。
今はクラスの中の討議などは、どこでもやっていません。
 同じく職員会も、きちんと反対意見が出て、中身のある議論がされていました。
今は本質の議論ではなくて、そこはこうしたほうがいい、どうやったらうまくいくかというノウハウの議論にしかなりません。
本質的にこれは必要なのか、なぜこれをやるのかの議論になると皆黙ってしまいます。
****************************************
…本質的な議論ではなくノウハウの議論ばかりというのも、寂しいような頼りないような情けないような。

◆2◆
そこで、ホワイ(なぜ?/なんで?)が議論対象にならないことについて、以下、4年前に出版された某書(註1)のpp.19‐20から恣意的に引用する。原文で傍点付きの部分を【 】内に入れ、原文に頻出する7文字を○○で表した(註2)。
****************************************
 ○○さんは、「私は正しい。私の正しさを前提にして、お前の思考を変えろ」と言っているのである。肝要なのは「変えろ」の部分で、それをしないと○○さんは怒る。○○さんのシュールさは、【話をただ理解しただけでは怒る】という点にある。理解した以上は、「味方」にならなければいけない。味方になった以上は、進んで○○さんの「利益になること」を伝え歩かなければならない。○○さんは、それをしないと怒るのである。なぜ怒るかというと、そこに「年を取れば取るほどえらい」の法則があるからである。
 もちろんこんなもの、まともに受け容れられる話ではない――
…(中略)…
だから、「なんで?」と口にしてしまう。そうすると、○○さんは怒る。○○さんにとって、「なんで?」を口にしないのが、「社会人としての教育」だったからである。
****************************************
註1:橋本治《ああでもなくこうでもなく4 戦争のある世界》(マドラ出版、2004)
註2:ジーさんやバー=○○

◆3◆
実はここ数日、先月書いた記事(http://todoct.blog85.fc2.com/blog-entry-95.html)に関連する事柄を少し調べていた。そして、都教委が2年前に出した【060413学校経営適正化通知】(http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/buka/gakumu/gakko_tuuchi.pdf)を当時の毎日新聞社説が【大人げない】と評したことも知った(cf.http://milou.seesaa.net/article/16666986.html)。で、以下は今月5日の報道記事である(http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20080905ddlk13100270000c.html)。
****************************************
●都教委:三鷹高校長から聴取、守秘義務違反を理由に /東京●
 都教育委員会は4日、職員会議で教職員の意向を確認する挙手・採決を禁止した通知の撤回を求めている都立三鷹高校の土肥信雄校長(59)から事情聴取を行った。都教委は「個人情報に当たる」として内容を明らかにしていないが、土肥校長によると都教委側は、土肥校長が教職員の業績評価に関する内部情報を公表したことが、地方公務員法上の守秘義務違反の疑いがある点を聴取の理由にしたという。
 土肥校長は8月4日に、都教委に対し公開討論の開催を求める要請書を提出したが断られたため、同22日に自身の見解を示した文書を報道各社に配った。この中に都教委が同19日に公開討論を断った口頭の回答を載せ、業績評価について都教委が各校長に「C・Dを合わせて少なくとも3割程度はいるはずである」と指導したとする内容を記した。
 都教委は00年度から業績評価を伴う人事考課制度を導入。教職員の自己申告を踏まえ、校長らが4段階(A~D)で評価している。
 聴取後に取材に応じた土肥校長は「都教委は業績評価の実施要領で『絶対評価』をするよう明記しながら、『相対評価』を前提としたような指導をわれわれ校長に強要した。この不正を国民に知らせることが国民の知る権利を保障することだ」と主張した。
 さらに土肥校長は「連帯を求めて孤立を恐れず」という言葉を引き、「私は確かに校長会、都教委の1人としては孤立している。しかし、それ以上に多くの方が支援してくださったのに感謝している」と述べた。
 一方、都教委の担当者は一般論として「業績評価の分布は公表しておらず、外部に漏らすのは不適切だ。評価が上位に偏るのが課題という意識は持っているが、画一的な指導はしていない」と話している。【木村健二】 毎日新聞 2008年9月5日 地方版
       Copyright 2008 THE MAINICHI NEWSPAPERS. All rights reserved.
****************************************
…私は、上掲の都教委通知が『大人げない』(浅慮)かどうかは判らぬものの、ホワイ?と訊かれると怒る『ジーさんやバーさん』系の文書なんだろうな――と判断するようになった。

スポンサーサイト



PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する