とどくとおもう Ⅱ

Full of Junk and Nothing

池部と島津

池部良が≪山脈をわたる風≫(1993)島津保次郎のことを書いている。
1942(昭和17)年2月1日の朝、入営式に向かう池部に島津が「おい、いけべくん、か」と声をかけたという。
以下、同書p.90から抜粋。
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「おい、いけべくん、か」と嗄(しわが)れた声がかかった。
振り返ったら、ソフト帽をかぶり、外套(がいとう)の襟を立てた島津監督が、真っ白い息を吐いて立っていた。
「来たよ」とまず言い、「死ぬんじゃないよ」と言った。
 ・・・〔中 略〕・・・
外套のポケットから、既にそのころ、お目にかかるのが珍しかったポケットウイスキーを取り出し、瓶の蓋(ふた)に注ぎ、僕に渡しながら、「天皇陛下のためだなんて、死に急ぎすんなよ」と言った。
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この言葉にどう応えたか、またウイスキーを飲んだのかどうか、池部はここに書いていない。
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