
今月5日発行<プレス空知>#3182の第9面。
記事中に「全校生徒は本年度62人。このうち兄弟の重複を除いた保護者は55人」とある。
『62人は信じられるが55人は信じられないゼ』と思った。
そのうち記者に「保護者は55人、ではなくて、生徒のいる世帯数が55、なんじゃないの?」と尋ねようと思う。
以下、記事の本文(記事末尾「。」の補記ほか文字データ作成byFJN)。
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【上砂川】上砂川中学校PTAの会長職が新学期から4カ月目になった今も不在の状態が続いている。PTA役員のなり手不足と全国的に言われているが、関係者によると会長がいないのは全国でも極めて稀なケースという。学校側は「会長が不在でも各部会が機能しており、活動に影響はない」と体裁を繕うが、代表者の不在は保護者と学校のパイプ役がいないことを意味しており、組織の在り方そのものを揺るがしかねない不安定要因になっている。【伊藤俊喜】
同校PTAは例年12月ごろに、当年度役員を中心に次年度の役員選考委員会を開き、会長1人、副会長3人、会計監査2人の合計6人の役員を推薦・内定している。しかし、昨年度の役員のほとんどの生徒が卒業年度を迎え、降りることに。また、前年度の会長は「1年限りで会長を引きうける」との条件付きだったため、新会長も選出しなければならなかったが調整がつかず、旧役員から推薦があった1人だけを除き、5人が空白のまま新年度を迎えた。
このため、事務局を担当する教頭らが中心となって事態の収拾に向け、調整を図ったが、PTA総会までに内諾を得られたのは会長を除く5人だけだった。
保護者55人小規模校
同校の全校生徒は本年度62人。このうち兄弟の重複を除いた保護者は55人となる小規模校だ。ここ数年、同校PTAでは会長選出にあたり、難航が続いていた。背景には、生徒数そのものの減少や、共働き世帯の増加、自営業者の高齢化のほか、会長ポストには役場職員から登用しないとの「長年の慣例」があったとみられている。
道内のPTAを束ねている北海道PTA連合会は「PTA会長さんが転勤や死亡することになって不在になるケースはあるが、新年度当初から選出されずに不在というのは、これまで道内で聞いたことがない」と驚きを隠せない。空知管内のある町の校長は「うちの学校はPTAのみなさん同士で、普段から意思疎通を図っており大丈夫だが、このようなことになると困る」と話す。また、ある町内関係者は「社長のいない会社のようなもの。組織として運営していくのは厳しいのではないか」と疑問を投げかけた。
時間なく生活最優先
会長の表舞台といえばあいさつ。同校では卒業式と入学式がこれに当たるが、現状が続けばあいさつは省略することになる。玉井数諭樹校長は「卒業式では保護者の立場からも生徒にはなむけの言葉を送ってほしい」と話す。また、PTAから保護者向けに発出する文書はこれまで会長名だったが、各部会長名に置き換えて出しているという。
PTAは各学校単位で組織されているが任意の団体で、学校の下部組織でもない。このため学校では「あくまでもPTA内で事態の解決を図ってほしい。出来る限りの協力は惜しまないが、強制や押しっけは避けたい」との考えだ。
ある保護者は「共働きでもあり、時間に余裕がない。できるなら役員は避けたい。異常事態であり恥ずかしいが生活が最優先。これが地方の現実です」と語り、肩を落とした。
写真キャプション――新年度からPTA会長不在が続く上砂川中学校
「強制回避」ある意味健全
PTA問題に詳しい文化学園大(東京)加藤薫教授の話
役員のなり手がいないのはどの学校でも共通の課題になっており、新年度に開く保護者懇談会で押し付けやくじ引きなど、半ば強引に決めるケースをよく聞く。しかし、上砂川は強制的に役員を決めていないという証拠でもあり、ある意味健全なもの。大事なことは会長が空席でも学校と保護者が連携がとれて、実質的な意思疎通が図れる組織であるかどうか。今回の上砂川のケースは私が知る範囲では全国的に初めてだが、今後過疎化が進む地域では同様の事例が発生することもあり、注目していきたい。
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